色覚異常当事者に対する情報保証アプローチに関する考察

本日11月1日、国際ユニヴァーサルデザイン会議 2010 in はままつ にて、色覚異常当事者を対象とした情報保証(一般的な表記「情報保障」は誤訳なのではないかと私は考えています)のあり方を題材に、学会発表をしてまいりました。

私の発表は、既存の情報保証ビジネスの手法ないし営業のあり方を問う、「ユニバーサルデザイン」の担い手たちにとって耳の痛いはずの内容でした。 つまり、“国際ユニヴァーサルデザイン会議” としては場違いな内容でした。 にも拘らず、発表後には多くのデザイナーの方々からお声を掛けていただき、大きなご賛同をいただきました。 デザインの担い手たちだけでなく、障害当事者からも快いご反応をいただきました。

 

いま巷には、「カラーユニバーサルデザイン」「メディアユニバーサルデザイン」などという造語を用いた、色覚異常当事者をマーケットとして捉える新興ビジネスが展開しています。 その背景にある事情をご存じない方からしたら、何か社会に対して「よいこと」が起こっているように見えるかもしれません。

 

しかし、これらのビジネスには、非常に危険なトラップが潜んでいます。 そのことを私は伝えたくて、このたび学会発表に挑んだ訳です。 私の学会発表に多くのご賛同をいただけたということは、世の中も、そろそろ本質的なバリアフリーのあり方に気づき始めたということかもしれません。

 

ビジネス主導のバリアフリーには、重大な欠点があります。 このことが、いずれ大きな社会問題になることでしょう。

 

なお、この学会の予稿集はCD-ROMの形で学会開催中にだけ配布され、論文集はまだ発行されておりません。 論文集が出版されましたら、追ってこのブログでご報告いたします。